PER・PBRとは? 初心者でも一発で理解できる株指標の攻略法

株式投資を始めると、最初の関門になりやすいのが PER(株価収益率)PBR(株価純資産倍率)。どちらも「株価が企業の実力に見合っているか」を測るための基本指標ですが、公式や用語に苦手意識を持つ人は少なくありません。
そこで本記事では、RPGに例えて、PER・PBRの本質を直感的に理解できるように整理します。


📖 PER・PBRとは? 初心者がつまずく株価指標

株価の「高い・安い」を数値で捉えるための二本柱がPERとPBRです。

  • PER:利益(EPS)に対して株価が何倍で評価されているか
  • PBR:純資産(BPS)に対して株価が何倍で評価されているか

PERの基本的な意味と公式

PER = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)

例:株価2,000円、EPS100円 → PER=20倍(投資家が年間利益の20年分を前払いしているイメージ)
※実際の投資判断では、予想PER(来期・再来期のEPS基準)が主に使われます。
実績PERは四季報やスクリーニング、証券会社のツールなどで表示されますが、参考程度にとどまることが多いです。

PBRの基本的な意味と公式

PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)

例:株価2,000円、BPS1,000円 → PBR=2倍(会社が持つ純資産の2倍で評価されている状態)


⚔️ PERをゲームに例えると「キャラのレベル上げ」

経験値が多いほど株価が割高?

PERが高い株は「利益に対して株価が高い」=割高に見える状態。
RPG的に言えば、「すでに高レベルのキャラを仲間にするのに大量のゴールドが必要」なイメージです。今はコストが高いけれど、即戦力として活躍する可能性があるから、投資家は高いお金を払うわけです。

PERが低い=効率的にレベル上げできるキャラ

PERが低い株は「利益に対して株価が低い」=効率良く育てられそうに見えます。ただし、レベルが上がりにくいキャラ(成長性が弱い企業)だったり、そもそも人気がないだけの可能性もあります。低PER=即お買い得とは限りません。


🛡️ PBRをゲームに例えると「装備や武器の価値」

強い装備を安く手に入れられる=割安株

PBRが低いと、純資産(装備の“原価”)に対して株価(装備の“市場価格”)が低い状態。良い装備を安く拾えるイメージです。ただし、なぜ安いのか(古い、重い、使いにくい=資産の質や収益力に問題)を確認する必要があります。

装備の耐久値=企業の純資産(高PBR=人気ブランド装備)

純資産は耐久値のようなもの。不況やダメージに耐える基盤です。
一方でPBRが高いのは、性能そのものというより「人気や将来の期待」が価格に上乗せされていることも多い。つまり「人気ブランドの装備」に近いイメージです。


🗺️ PER・PBRを組み合わせた攻略法

PERだけではダメ?「装備とレベルの両立」

レベル(PER)だけ高くても、仲間にするコストが高すぎて効率が悪い。
装備(PBR由来の安全性や資産の厚み)が貧弱だと、いざという時に耐えられない。
逆もまた然り。
成長性 × 安全性 × 効率性のバランスを見る発想が大切です。

投資家がよく使うPER・PBRの目安

指標低めの目安普通(平均的)高めの目安ざっくり解釈
PER~10倍10~20倍20倍超:割安 or 成長性に乏しい
:割高 or 高成長期待
PBR~1倍1~2倍2倍超:見直し余地 or 資産の質次第
:期待・ブランド評価

※上記は一般的な傾向であり、業種・個別銘柄や相場局面によって例外があります。


🧮 実際の株を例にPER・PBRを計算してみよう

※以降は理解促進の仮想例です。実際の株価・指標とは異なります。

任天堂のPER・PBRをチェック(例)

  • 仮定:株価 = 7,000円、EPS = 350円、BPS = 3,500円
  • PER = 7,000 ÷ 350 = 20倍
  • PBR = 7,000 ÷ 3,500 = 2倍
    👉 利益・資産のバランスが良い「安定型」

ソニーのPER・PBRをチェック(例)

  • 仮定:株価 = 13,000円、EPS = 260円、BPS = 4,000円
  • PER = 13,000 ÷ 260 = 50倍
  • PBR = 13,000 ÷ 4,000 ≒ 3.25倍
    👉 利益に対してかなり高く評価されている「成長期待型」

グラフで見る任天堂とソニーのPER・PBR比較

グラフ①はEPS/BPS=企業の実力、グラフ②はPER/PBR=市場評価を示します。任天堂はEPSとBPSがバランスよく安定している一方、ソニーはEPSがやや薄いにも関わらず、PER・PBRともに高め=市場から強い成長期待を受けています。
※実際の株価ではなく、仮想例です。


🎮 ゲーマー的攻略法:PER・PBRを使った銘柄の見方

PERは「成長性を測るセンサー」

  • 売上成長・利益率改善・新製品など、将来の伸びが数字にどう効くかを見積もる
     👉 新スキル解放や装備強化でこれから火力が上がるイメージ。売上=ヒット数、利益率=ダメージ倍率、新製品=新スキル。将来のEPSにどれだけ乗るかをざっくり試算する。
  • 予想PERを使い、EPS予想の妥当性(会社計画/コンセンサス)を裏取り
     👉 会社計画=本人の自己申告、コンセンサス=周囲の期待
     👉 裏取り=過去達成率・受注/予約・開発進捗・ガイダンス修正 を照合。
     👉 現実味が薄いならイベント前の過熱として警戒、裏付けが厚いなら高PER許容の余地。
  • 業種・局面で変わるPERの「ジョブ補正」を意識
     👉 情報・通信業や(電気機器内の)半導体関連は高PERが許容されやすく、銀行業・不動産業・保険業は低PERが一般的。さらに、金利や景気でレンジは変動する。

PBRは「安全装備の耐久値」

  • 純資産の中身(現金同等物・固定資産・のれん等)を点検
     👉 倉庫(装備・アイテム)の中身をチェックするイメージ。何が即戦力で、何が重りかを見極める。
  • ROE(自己資本利益率)が低迷=会社が持つ資産を十分に活かせていない可能性
     👉 強力な装備やアイテムを持っているのに、バトルで使わずに眠らせている状態。
  • 資本政策(自社株買い・配当)や資産売却による見直し余地
     👉 配当=仲間にゴールドを配って報酬を還元。
     👉 自社株買い=同じ戦利品を少人数で分けるイメージ(発行株数を減らして1株あたりの取り分を増やす)。
     👉 資産売却=使っていない装備を売って、軽く・強くする(資産の入れ替えで効率を上げる)。

⚠️ PER・PBRを誤解しやすいポイントと注意点

PERが低い=必ずしも割安ではない

  • 特別利益で一時的にEPSが膨らむことがある
  • 景気循環の山(サイクル天井)では見かけのPERが低くなる
  • 構造的な成長鈍化(業界縮小・競争激化)

PBRが1倍割れ=必ずしも買いチャンスではない

  • 減損(資産価値の見直し)リスク
  • ROEが低く資本効率に課題
  • ガバナンスや事業ポートフォリオに対する懸念

指標は結論ではなく「兆候を示すセンサー」。最終判断は事業の質・競争優位・資本効率・キャッシュフローまで踏み込んで行いましょう。


🏁【まとめ】PER・PBRをゲーム感覚で使いこなそう

  • PER=レベル:高PERは「高レベルキャラを仲間にするための高コスト」。即戦力期待だが割高感も。
  • PBR=装備:低PBRは「性能の割に安い装備」だが、理由の見極めが必須。高PBRは人気・期待の反映も。
  • 両者の併読+ROEで、成長性×安全性×効率性のバランスを見る。
  • 表(PER・PBRの数値を整理) → グラフ(推移や比較を可視化) → 考察(背景や理由を読み取る) の順で、自分が調べたい株にも当てはめてみるとストーリーが見えてくる。

💬 よくある質問(FAQ)

Q1. PERとPBR、どちらを重視すべき?
A. 業種と局面で変わります。 資産ビジネス(金融・不動産)は PBR の示唆が強く、知財・サブスク・プラットフォーム型は PER の示唆が出やすいです。ぼく自身は 指標を主役にはせず、まずは 売上や利益の流れ、事業の質 をチェックします。そのうえで、新高値や出来高 といった相場の動きも参考にしています。

Q2. 予想PERはなぜ大事?
A. 一般には、株価はこれからの利益を織り込む ので、来期・再来期EPSを使う 予想PER がよく使われます。ぼく自身は常用していませんが、成長株の 「割高/割安感」をざっくり把握する道具 として知っておくと便利です。予想はブレるので、会社計画かアナリスト予想か は意識しておきましょう。

Q3. PERやPBRがマイナスになることはある?
A. PERは赤字(EPSがマイナス)だと算出不能 で、「—」や空欄扱いになるのが一般的です。PBRはBPSがプラスなら通常プラス ですが、BPSがマイナス なら指標として意味が薄く、掲載を見送るケースが多いです。

Q4. 初心者はどの水準を目安にすればいい?
A. ざっくりの普通の水準は、PER10~20倍・PBR1倍前後。ただし 業種・金利環境・相場局面で大きく変わる ので、同業比較自社の過去レンジ で文脈を確認しましょう。大きく外れているなら、その理由を探すことが大切 です。

Q5. PER・PBRだけで投資判断しても大丈夫?
A. 不十分です。 ぼく自身はPER・PBRをあまり使っておらず、これだけで判断することはありません。実際の投資判断では、まずは 事業の継続性・売上と利益の流れ・直近の材料 を確認します。そのうえで、新高値や出来高を最重視 しており、これによって 相場の勢いや投資家の参加度 を見ています。PER・PBRはあくまで 補助的に添える程度 です。

Q6. 他に覚えておくべき指標は?
A. ROE/ROA/EV/EBITDA倍率/配当利回り・配当性向 です。どれも万能ではありませんが、PER・PBRと組み合わせる と、成長性・効率・株主還元のバランス が見やすくなります。


参考リンク(外部)


📌 次に読んでほしい記事


※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

タイトルとURLをコピーしました
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。