こんにちは! ゲーマー投資家ゆーすけ(@gaminvestlog)です。
決算発表のたびに「上方修正」のニュースを見て、株価が跳ね上がる銘柄を羨ましく眺めた経験はありませんか? 実は、企業によって業績予想の出し方には「癖」があります。毎年のように保守的な予想を出して、後から上方修正する会社。逆に、強気の予想を出して未達に終わる会社。この傾向を事前に把握できれば、決算発表への構え方が変わってきます。
とはいえ、過去10年分の予想と実績を手作業で比較するのは骨が折れます。有料ツールを使えば一発ですが、月額数千円のコストは地味に痛い。そこで今回は、無料の決算データベース「IR BANK」とAIを組み合わせて、企業の「業績予想の癖」を分析する方法を紹介します。
🧐 企業の業績予想には「癖」がある
保守的な会社、強気な会社
上場企業は毎年、期初(4〜5月頃)に通期の業績予想を発表します。この予想と実績の関係を過去数年分並べてみると、面白い傾向が見えてきます。
ある会社は、毎年のように期初予想を低めに出し、中間決算や第3四半期で上方修正を繰り返す。別の会社は、期初に強気な数字を出して、結局は下方修正で着地する。こうした「癖」は、経営陣のスタンスや事業の特性を反映しており、単年で見るよりも複数年で眺めた方がパターンが掴みやすくなります。
なぜ「癖」を知ることが投資に役立つのか
保守的な予想を出す傾向がある企業なら、期初予想の数字を鵜呑みにせず、四半期ごとの進捗率を注視する戦略が有効です。「進捗率が高いのに株価が反応していない」タイミングは、上方修正を先回りするチャンスになり得ます。
逆に、強気な予想を出しがちな企業は、未達リスクを織り込んでおく必要があります。期初予想だけを見て「成長率が高い」と飛びつくと、下方修正で痛い目を見る可能性があります。
つまり、企業の「癖」を知ることは、決算発表というイベントへの備え方を変える情報になるわけです。
🏦 無料で使える決算データベース「IR BANK」とは
IR BANKの概要
IR BANKは、上場企業の財務データを無料で閲覧できるWebサイトです。過去10年以上の決算履歴が一覧で確認でき、期初予想・修正・実績の推移を時系列で追うことができます。
有料の株式情報サービスと比較するとUIはシンプルですが、その分データがテキストベースで整理されており、AIに読み込ませる素材としては非常に扱いやすい構造になっています。
株探などの株式情報サイトでも決算データは確認できますが、IR BANKの強みは過去の「予想」「修正」「実績」が1つの表にまとまっている点です。株探では実績の推移は見やすいものの、期初予想と修正履歴を時系列で追うには画面を行き来する必要があります。「予想の癖」を分析するなら、IR BANKの方がデータ取得の手間が少なく済みます。
データの取得方法
手順は以下の通りです。
- IR BANK(https://irbank.net/)にアクセス
- 検索窓に銘柄コードまたは社名を入力
- 銘柄ページの「株式情報」セクションにある「過去の決算をチェック」をクリック
- 表示された「決算履歴」の表をマウスでドラッグして選択し、コピー

「過去の決算をチェック」をクリックすると、過去約10年分の予想・修正・実績が一覧で表示されます。

この表をそのままコピーしてAIに貼り付けるだけです。
📜 AIに「修正の癖」を分析させるプロンプト
プロンプト全文(コピペ用)
あなたはプロの証券アナリストです。
以下は企業の過去約10年分の業績(予想・修正・実績)データです。
「営業利益」を軸に、以下の4点を分析してください。
### 分析リクエスト
1. **期初予想の傾向**
- 各年度の「期初予想」と「実績」を比較し、乖離率(実績÷期初予想−1)を算出してください。
- 全年度の平均乖離率を計算し、予想が実績に対して「保守的(低めに出す傾向)」か「強気(高めに出す傾向)」か「概ね正確」かを判定してください。
2. **上方修正のタイミング**
- 上方修正が行われた年について、修正は主に2Q決算時(10-11月頃)か、3Q決算時(1-2月頃)か、どちらで発表される傾向があるかを分析してください。
3. **下方修正の発生状況**
- 下方修正が行われた年がある場合、その年の特徴(外部環境、業績の傾向など)を簡潔に記述してください。
4. **総合評価**
- 以上を踏まえ、この企業の業績予想は「上振れを期待できる傾向がある」「下振れリスクに注意が必要」「予想精度が高く信頼できる」のいずれに該当するか、結論を述べてください。
### 計算に関する指示
数値(乖離率、平均値など)は、**必ずPythonコードを実行して正確に算出してください。**
推測や概算での計算は禁止します。
(※Python実行機能がない環境では、数値計算を省略し、傾向分析のみ回答してください)
---
【データ】
(ここにIR BANKからコピーしたデータを貼り付け)
プロンプトの解説
このプロンプトのポイントは2つあります。
営業利益を軸にする理由:売上高は為替や会計基準の影響を受けやすく、純利益は特別損益で歪むことがあります。本業の実力を見る指標としてノイズが少ないのが営業利益です。
「Python実行指示」の意味:AIに「平均乖離率を出して」と頼むと、計算ミス(ハルシネーション)が発生することがあります。「Pythonコードを実行して」と明示することで、AIが内部でプログラムを走らせ、正確な数値を算出してくれます。
🔍 実践 ── 任天堂の業績予想を分析してみた
分析結果の要約
実際に任天堂(7974)の過去約10年分のデータをGemini(3.0 Pro)に分析させました。結果は以下の通りです。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 対象期間 | 2017年3月期〜2025年3月期(約10年分) |
| 実績が期初予想を上回った回数 | 7回(勝率77.8%) |
| 平均乖離率 | +35.2% |
| 上方修正のタイミング | 2Q決算時(10-11月)が多い |
| 下方修正が発生した年の特徴 | 1Q時点の進捗率が極端に低い |
任天堂は「非常に保守的」な予想を出す傾向があり、期初予想は実績に対して平均で3割以上低く設定されています。特にヒット作が出た年(2018年、2021年など)は2倍以上の上振れが発生しました。
一方で、下方修正が発生した年(2017年、2023年、2025年)には共通点がありました。1Q時点での営業利益が前年同期比で大幅に落ち込んでいたのです。つまり、1Qの数字が悪い年は「今年は上振れしにくい」というシグナルになり得ます。
詳細な出力例
Geminiの出力全文はこちらで確認できます。Pythonコードによる計算過程も含まれているので、分析の透明性を確認したい方はご覧ください。
🚧 この手法の限界と注意点
AIは傾向を言語化するだけ
このプロンプトが出力するのは「過去の傾向分析」であり、「この銘柄を買うべき」という投資判断ではありません。過去に保守的だった企業が、来期も同じパターンを繰り返す保証はありません。経営陣の交代、事業構造の変化、外部環境の激変など、傾向を崩す要因はいくらでもあります。
分析結果は「参考情報」として扱い、最終的な投資判断はご自身で行ってください。
為替影響が大きい企業は経常利益・純利益も確認
任天堂のように海外売上比率が高い企業は、為替差益・差損が経常利益や純利益に大きく影響します。営業利益だけを見ていると、決算ニュースで報じられる「純利益○○%増」との整合性が取れないことがあります。
営業利益で大まかな傾向を掴んだ後、気になる銘柄については経常利益や純利益の推移も併せて確認すると、より立体的な理解が得られます。
✅ まとめ
企業の「業績予想の癖」を知ることで、決算発表への向き合い方が変わります。保守的な企業なら進捗率を注視し、強気な企業なら未達リスクを織り込む。このひと手間が、決算ギャンブルを避ける一助になります。
IR BANK(無料)でデータを取得し、AIに分析させる。有料ツールに頼らずとも、この組み合わせで過去の傾向は可視化できます。ゲームで言えば「ボスの攻撃パターンを覚える」作業に近いかもしれません。地味ですが、知っているのと知らないのとでは立ち回りが変わってきます。
気になる銘柄があれば、まずはIR BANKで検索してみてください。
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