こんにちは! ゲーマー投資家ゆーすけ(@gaminvestlog)です。
2026年2月、米AI企業Anthropic(アンソロピック)の新サービスをきっかけに、世界中のSaaS関連株やIT株が急落しました。いわゆる「アンソロピックショック」です。
僕もこのショックに巻き込まれた一人です。保有していたIT関連の成長株が、決算前から原因不明の急落を始め、Claudeで原因を分析しても当初は正確に特定できませんでした。結果的に、セクター全体を覆うアンソロピックショックの連れ安だったと後から気づいたのですが、その間にチャートは崩壊。ルールに従って手放す判断をしています。
この記事では、新高値ブレイク×成長株投資を実践している僕が、アンソロピックショックで実際に経験したことと、そこから得た3つの教訓を共有します。
🔍 アンソロピックショックとは?
Claude Coworkの登場で何が変わったのか
アンソロピックショックの発端は、Anthropic社のAIエージェント「Claude Cowork」です。
Claude Coworkは、2026年1月12日にリサーチプレビューとして公開された、ユーザーのPC上のファイルに直接アクセスし、目標を伝えるだけでAIが自律的にタスクを遂行するアプリケーションです。公開当初の市場の反応は限定的でした。
転機となったのは1月30日です。法務・財務・営業・マーケティングなど11種類の業務特化プラグインが追加公開されたことで、「SaaS(業務用クラウドソフト)をAIエージェントが代替するのでは?」 という懸念が一気に拡大しました。
アンソロピックショックの時系列
| 日付 | 出来事 | 影響を受けたセクター |
|---|---|---|
| 1月30日 | Claude Cowork プラグイン公開(法務・財務・営業など) | SaaS、業務ソフト全般 |
| 2月5日 | 最新AIモデル「Claude Opus 4.6」発表(金融分析強化) | 金融サービス関連 |
| 2月20日 | 「Claude Code Security」発表(脆弱性管理機能) | サイバーセキュリティ関連 |
| 2月23日 | COBOL近代化支援をブログで公表 | レガシーIT、コンサル関連 |
参照元:三井住友DSアセットマネジメント 市川レポート「アンソロピック・ショックやSaaS崩壊論に関する考察」(2026年2月25日)
SaaS株だけでなくIT株全体に波及した
直接的な影響を受けたのはセールスフォースやアドビなどのSaaS大手で、国内でもSansanやマネーフォワードなどが急落しました。
| 企業名 | 年初来騰落率(2月16日時点) |
|---|---|
| セールスフォース(CRM) | ▲25% |
| ハブスポット(HUBS) | ▲36.2% |
| アドビ(ADBE) | ▲21% |
| マネーフォワード(3994) | ▲29.5% |
| Sansan(4443) | ▲35% |
ただし、売りはSaaS企業にとどまりませんでした。「IT関連」「情報・通信業」というくくりで幅広い銘柄に波及し、AIによるビジネスモデル毀損リスクが小さい企業でも、セクター全体の連れ安に巻き込まれるケースが多発しています。僕の保有銘柄もまさにこのパターンでした。
参照元:楽天証券トウシル「いまさら聞けない「SaaSの死」「アンソロピック・ショック」とは?」(2026年2月17日)
📉 好決算でも売られる
AViC(9554)── 売上+58%増、なのに決算前に手放した理由
AViC(9554)はデジタルマーケティング支援を手がけるグロース市場の成長株で、僕のポートフォリオに入っていた銘柄です。
異変を感じたのは2月4日でした。前日まで2,100円前後で推移していた株価が、出来高を伴って一気に1,951円まで急落。翌5日も1,879円、6日には1,740円と、3営業日で約17%下落しています。
| 日付 | 終値 | 前日比 | 出来高 |
|---|---|---|---|
| 2/3 | 2,102円 | +0.48% | 7,600株 |
| 2/4 | 1,951円 | ▲7.18% | 71,000株 |
| 2/5 | 1,879円 | ▲3.69% | 77,500株 |
| 2/6 | 1,740円 | ▲7.40% | 89,800株 |
当時、僕はこの下落の原因をSpica子会社化(1月27日発表のM&A)だと考えていました。Claudeと一緒に材料を分析し、M&Aが主因だという仮説を立てていました。しかし実際には、アンソロピックショックによるセクター全体の売りが背景にありました。この点は後述します。
結局、僕は2月9日に始値1,740円で成行売りし、約+12%で利確しています。決算発表(2月13日)の前です。

その後に発表された1Q決算の内容は、売上高+58.3%、営業利益+29.8%と大幅な増収増益でした。
| 指標 | 実績(25年10-12月) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 8.20億円 | +58.3% |
| 営業利益 | 1.98億円 | +29.8% |
| 経常利益 | 1.9億円 | +30.1% |
好決算だったにもかかわらず、株価はその後も下落を続け、2月19日には一時1,253円をつけています。もし「決算が良いから持ち続けよう」と判断していたら、含み益は完全に消えていた計算です。
参照元:株探「AViC【9554】、1Qは2ケタ増収増益」(2026年2月16日)、株価データは株探の日足時系列より
情報戦略テクノロジー(155A)── 7期連続最高益更新でも下落
もう1つの保有銘柄が情報戦略テクノロジー(155A)です。DX支援が主力のグロース市場銘柄です。
2月13日発表の通期決算では、経常利益+34.3%で着地。今期も+37.4%増の7期連続最高益更新見通しが示されました。
| 指標 | 実績(25年12月期) | 前期比 |
|---|---|---|
| 経常利益 | 5.3億円 | +34.3% |
| 今期予想 | 7.3億円 | +37.4% |
ところが決算翌営業日の2月16日には1,042円まで急落(前日比▲15.28%)。1月下旬の1,400円台から、2月24日には一時818円まで下げています。52週高値1,750円からは約▲53%の下落です。
僕は2月18日に始値959円で成行売りしています。

参照元:株探「情報戦略テクノロジー【155A】、今期経常は37%増で7期連続最高益更新へ」(2026年2月13日)、株価データは株探の日足時系列より
下落の原因を正確に特定することは難しい
今回のケースで反省しているのは、僕自身がAI関連の外部環境の変化に対して鈍感だったことです。Claude Coworkのプラグイン公開は1月30日で、本格的な売りが始まる2月4日まで数日ありました。ただ、仮にニュースを把握していたとしても、デジタルマーケティング支援のAViCがSaaS崩壊懸念の巻き添えを食うかどうかを事前に判断するのは簡単ではなかったと思います。
Claudeと分析した際も、「下落のタイミング」と「直近のM&Aニュース」を強く関連付けた結果、M&Aが主因だという結論になっていました。しかし、M&Aの発表は1月27日で、株価が大きく崩れ始めたのは2月4日です。市場が本当に悪材料と判断していたなら、もっと早く反応していたはずで、実際の背景はアンソロピックショックによるセクター全体の売り圧力だったと考えています。
ここから得た教訓は2つあります。1つは、AI関連のニュースには今まで以上にアンテナを張る必要があるということ。もう1つは、それでも原因分析には限界があるので、判断の基準を「原因が何か」ではなく「チャートが崩れているかどうか」に置くことの重要性です。原因を正確に当てられなくても、ルール通りに動けば結果的に正しい判断につながります。
✅ 新高値ブレイク投資家が確認した3つのチェックポイント
チェック①:ボックスや節目を割ったらルール通りに手放す
新高値ブレイク投資では、チャートの節目やボックスレンジ(一定期間の値動きの上限・下限)を割った時点で手放すのが基本ルールです。
今回のケースでは、AViCが2,000円のボックス下限を割り込み、情報戦略テクノロジーも1,200円台のサポートラインを下抜けました。「決算は良かったのに…」という未練はありましたが、ルール通りに対応しています。
結果的にどちらもその後さらに下落しており、判断自体は間違っていなかったと考えています。ショックの原因が何であれ、崩れたチャートの事実に従う。好決算でもこうした事態は起こり得るという現実は、成長株投資家にとって受け入れがたい場面かもしれませんが、こうした場面でルールを守れるかどうかが長期成績を左右する部分だと改めて感じました。
チェック②:「好決算+急落」の銘柄をすぐ買い直さない
手放した後に「安くなった今こそ買い直すべきでは?」という気持ちが湧くことがあります。しかし新高値ブレイク投資では、チャートが崩れた銘柄は新高値を取る勢いを失っているため、すぐに買い直す対象にはなりません。
野村証券のレポートでも、過去の類似局面では株価が50営業日程度にわたり市場平均を4〜5%下回った後に落ち着く傾向が見られたと分析されています。焦って買い直すより、チャートが再構築されて再び新高値を取ってくる段階で改めて検討する方が理にかなっています。
参照元:野村証券「AI代替懸念「アンソロピックショック」は過剰反応と見る理由」(2026年2月)
補足:ショック後の安値圏は「買い場」だった可能性もある
一つ付け加えておきたい視点があります。アンソロピックショックは個別企業の業績悪化ではなく、セクター全体に対する外部要因の売りです。AViCも情報戦略テクノロジーも、決算内容自体は好調でした。業績が本物であれば、ショック後の安値圏が結果的に絶好の買い場だった、という展開は十分あり得ます。
ただ、僕は新高値ブレイク投資をしている以上、テーマ的に逆風が吹いている局面で底値を拾いにいくことはしません。この点は投資手法によって正解が変わる部分だと思います。
チェック③:新たに新高値を取った銘柄に入れ替える
ショックで保有銘柄を手放した後にやったことはシンプルです。いつも通り、決算をクリアして新高値を取ってきた銘柄を探し、監視リストに加え、条件が合ったものを買っただけです。
結果として、パシフィックネット(3021)やクラスターテクノロジー(4240)、キャリアリンク(6070)など、IT・SaaSとは異なるセクターの銘柄に自然と入れ替わりました。PCサブスク、ナノテク、人材サービスと事業内容はバラバラですが、共通しているのは「決算をクリアし、新高値圏で推移している」という一点です。
ここから得た気づきは、新高値ブレイク投資のルールに従って銘柄を入れ替えるだけで、ショックの影響が薄いセクターにポートフォリオが自然と移行していたということです。これは新高値ブレイク投資の仕組みそのものが持つ、一種のリスク管理機能と言えるかもしれません。
各銘柄の詳しい分析や売買判断は、2月の月次投資成績報告で改めて紹介する予定です。
🔄 AIショックは形を変えて繰り返す
DeepSeekショックとの比較
AI起因のショックは今回が初めてではありません。2025年1月にも、中国のDeepSeekが低コスト高性能AIモデルを開発したことでNVIDIAが一時17%下落し、日本株でもアドバンテストやフジクラなど半導体関連が急落する「DeepSeekショック」が発生しています。
| DeepSeekショック(2025年1月) | アンソロピックショック(2026年2月) | |
|---|---|---|
| きっかけ | 低コストAIモデルの登場 | AIエージェント「Claude Cowork」の業務特化プラグイン公開 |
| 主な懸念 | 巨額の半導体投資が不要になる? | SaaS・業務ソフトがAIに代替される? |
| 直撃セクター | 半導体、電線 | SaaS、IT、金融サービス、セキュリティ |
| 象徴的な銘柄 | NVIDIA、アドバンテスト、フジクラ | セールスフォース、アドビ、Sansan |
僕の場合、DeepSeek時は半導体関連の保有がほとんどなく影響は限定的でした。一方、今回はIT関連の保有があったため直撃を受けています。どのセクターがショックの対象になるかはAIの進化の方向性によって変わるため、自分のポートフォリオがどのリスクに晒されているかは常に意識しておく必要があります。
共通する教訓
2つのショックに共通するのは、対象セクターに属していれば、個別の業績がいくら好調でも売られるという点です。市場がパニック的な売りモードに入ると、個別のファンダメンタルズ(業績や財務内容)を精査する余裕がなくなり、セクター単位で売りが進む傾向があります。
AIの進化が続く限り、こうしたAI起因のセクターショックは今後も形を変えて発生する可能性が高いと考えています。
📝 まとめ
今回のアンソロピックショックを通じて得た教訓を整理します。
- ①ルール通りに手放す:ボックスや節目を割ったら、好決算への未練を捨ててルール通りに退場する
- ②すぐ買い直さない:チャートが再構築されるまで待ち、再び新高値を取ってきた段階で改めて検討する
- ③新高値銘柄に入れ替える:ルール通りに入れ替えるだけで、ショックの影響外へポートフォリオが自然と移行していく
ショック自体を予測することは困難ですが、ショックが来たときにどう行動するかはあらかじめ決めておけます。新高値ブレイク投資のルールは、そうした場面での行動指針として機能するものだと、今回の経験を通じて実感しました。
2月の月次投資成績報告では、ポートフォリオの変化や入れ替え銘柄の詳細についても触れる予定です。そちらもぜひご覧ください。
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