【AI銘柄分析】弐億貯男氏の「倒産・粉飾リスク調査プロンプト」について解説

こんにちは、ゲーマー投資家ゆーすけ(@gaminvestlogです。

個人投資家として株式市場と向き合う上で、避けては通れないリスクの一つに、企業の「倒産」や「粉飾決算」が挙げられます。

「保有銘柄の財務状況は本当に健全だろうか?」「決算書から潜在的なリスクを読み解くのは難しい…」

こうした投資家共通の課題に対し、X(旧Twitter)で支持を集める著名個人投資家の弐億貯男(@2okutameo氏が公開した有用なプロンプト(AIへの指示文)が、大きな注目を集めています。

本記事では、プロンプトの狙い、使い方、結果の読み解き方を、初心者〜中級者向けに具体的なポイントを交えて解説します。

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👤 弐億貯男(におくためお)氏について

本題に入る前に、プロンプトの開発者である弐億貯男氏についてご紹介します。

弐億貯男氏は、X(旧Twitter)で30万人以上(執筆時点)のフォロワーを持つ、影響力の大きい個人投資家です。株式投資で2億円以上の資産を築いた実績を持ち、その深い洞察に基づく分析や有益な情報は、多くの投資家から高く評価されています。確かな実績を持つ投資家が作成したプロンプトであるという点が、多くの投資家から注目を集める一因となっています。


💬 弐億貯男氏の実際の投稿

こちらが、弐億貯男氏がX(旧Twitter)で実際に公開されたプロンプトの投稿です。

の投稿

この投稿では、ご自身の保有株に潜むリスクについて、AIを用いて①信頼できる情報源から、②客観的なスコアで、③次に何を調べるべきか(Red Flags)までを網羅的に分析する手順が示されています。


✅ このプロンプトの優れた点

このプロンプトが多くの投資家から注目されている理由は、主に3つのポイントに集約されると考えられます。

1. 信頼性の高い「一次情報」のみを利用

AIは時に誤った情報を生成することがありますが、このプロンプトは分析の根拠をTDnet(適時開示情報)やEDINET(有価証券報告書)といった公的な情報源に限定するよう厳しく指示されています。これにより、分析の客観性と信頼性を高める一助となります。

2. 客観的な指標でリスクをスコア化

専門家が用いるような指標に基づき、企業の危険度を0–100の客観的なスコアで示してくれます。

  • 倒産リスク:企業の財務体力(自己資本比率など)や資金繰り(営業キャッシュフローなど)といった、企業の存続能力を多角的に評価します。
  • 粉飾リスク:監査法人による意見や、利益と現金の動きの乖離など、会計上の不自然な点の有無を評価します。

これにより、複雑な財務リスクを直感的に把握しやすくなります。

3. 分析後のアクションが明確になる

分析結果では、単にスコアを示すだけでなく、「Red Flags(要深掘り)」として具体的な懸念点を、「追加検証ToDo」として次に確認すべき項目を提示してくれます。これにより、分析を次のアクションに繋げやすくなるのです。


🔍 プロンプトの使い方と出力結果の読み解き方

プロンプトの使い方(所要時間:1〜3分)

AIプロンプトと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実際の使い方は非常にシンプルです。

実際に入力するのは銘柄名だけで十分です

このプロンプトは、多忙な投資家のために、最小限の入力で分析が開始できるように設計されています。

  • 最小入力:銘柄名または証券コード(どちらか一方だけで問題ありません)
  • 省略可能な項目
    • 対象期間:未入力の場合は「直近3期+直近四半期」が自動で適用されます。
    • 会計基準:未入力の場合は、企業が公開している基準(JGAAP/IFRSなど)に自動で追随します。

分析の実行手順

  1. 後述のプロンプト全文をコピーします。
  2. ChatGPTやGeminiなどのAIチャットサービスを開き、入力欄に貼り付けます。
  3. AIから銘柄名を入力するよう促されたら、分析したい企業名や証券コードを入力します。(複数銘柄の場合は改行やカンマで区切ります)

これだけで、一次情報に基づく分析サマリーが生成され、自身で分析を深めるための優れた出発点となります。

出力結果の読み解き方

AIが出力した結果をどう解釈し、どう投資に活かすかが重要です。特に以下の点に注目するとよいでしょう。

  • スコアの高低だけでなく「根拠」を確認する
    スコアが高い(リスクが高い)と判定された場合、どの指標が悪化しているのかを「スコア詳細」で確認します。例えば、倒産リスクが高い原因が「多額の先行投資による一時的な財務悪化」なのか、「本業の収益力低下による構造的な問題」なのかで、その評価は大きく異なります。
  • 「Red Flags」で特に注意すべき項目
    危険信号の中でも特に注意したいのが「営業利益と営業キャッシュフロー(営業CF)の乖離」です。会計上の利益(営業利益)は出ているにもかかわらず、手元の現金(営業CF)が増えていない、あるいは減っている場合、売上が適切に現金化されていない可能性(黒字倒産のリスク)を示唆します。
  • 「追加検証ToDo」を実行する
    このプロンプトの最も有用な点の一つが、具体的なToDoを示してくれることです。「〇〇について決算説明会資料で確認する」「有価証券報告書で△△の注記を読む」といった指示に従い、一次情報に自らアクセスする習慣をつけることで、分析の精度は格段に向上します。

⚠️ ご利用上の注意点

このプロンプトは非常に有用なツールですが、万能ではありません。AIによる分析はあくまで、公開された財務情報に基づくスクリーニング(ふるい分け)です。

分析結果は投資助言ではなく、企業の将来を保証するものでもありません。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任において、多角的な情報収集と分析に基づいて行ってください。


🎯 まとめ:AIを客観的な分析ツールとして活用する

今回は、著名個人投資家の弐億貯男氏が作成した「倒産・粉飾リスク調査プロンプト」について解説しました。

このプロンプトを活用することで、個人投資家でも専門家のような視点で企業の財務リスクを体系的にチェックする手助けを得られます。AIが提示する客観的なデータを基に、自身で一次情報を確認し、分析を深めていく。このプロセスこそが、投資家としての経験値を高める上で非常に重要といえるでしょう。

AIを鵜呑みにするのではなく、優秀な分析アシスタントとして使いこなすことで、ご自身の投資分析の精度を高め、より堅実な投資判断に繋げることが期待できます。

弐億貯男氏のプロンプト全文はこちら(クリックして開く)
# 役割
あなたは日本株のフォレンジック会計アナリストです。断定は避け、「粉飾」ではなく「粉飾リスクシグナル」「追加検証が必要」と表現してください。金融機関(銀行・保険・証券)は対象外。

# 対話開始の挙動(超重要)
このプロンプトを貼った直後のあなた(ChatGPT)の【最初の返答は下記の一文のみ】にしてください。説明や前置きは不要。

→「銘柄名(複数可)・証券コード・対象期間(例:直近3期+直近期)・会計基準(JGAAP/IFRS)を入力してください。形式例:
 6758 ソニーグループ
 または
 トヨタ自動車(7203)
 ※カンマ区切り or 改行で複数入力可」

# 入力受け付け仕様
- 許容:社名のみ/コードのみ/社名+コードの混在、全角・半角、カンマ・読点・改行区切り。
- 省略時のデフォルト:対象期間=直近3期+直近四半期、会計基準=公開基準に追随、連結ベース。
- 曖昧名は最小限の確認を1回のみ実施(例:「ABCは(1234)で合っていますか?」)。以降は確度の高い候補で続行。

# 一次情報厳守
- 各銘柄について必ず一次情報URL(TDnet、EDINET、有価証券報告書、内部統制報告書、監査報告、決算短信)を最低1つ/カテゴリ添付。
- 出所と公表日を明記(例:TDnet 決算短信 2025-07-31)。
- 二次情報は参考扱い。矛盾は一次情報を優先。

# スコアレンジ(0=低リスク、100=高リスク)
解釈:0–19 極めて低/20–39 低/40–59 中/60–79 高/80–100 極めて高
欠損はスキップし、その旨明記(推定で穴埋めしない)。

# スコア設計
■ 倒産リスク(100=高)= 加重平均
- 財務体力 35pt:Net D/EBITDA(10)、インタレストカバレッジ(10)、自己資本比率(10)、流動比率(5)
- 資金繰り 25pt:営業CFトレンド(10)、FCF/売上(5)、手元資金/1年内返済額(10)
- 収益安定性 20pt:売上/粗利のボラ(10)、顧客集中/セグ依存(5)、為替/コモディティ感応度(5)
- 構造イベント 20pt:債務償還壁・コベナンツ・継続企業の前提注記(各10点内で合計20)

■ 粉飾リスク(100=高)= 加重平均
- 会計・監査シグナル 40pt:監査意見(15)、内部統制の重要な不備/無効(10)、監査人交代頻度(5)、訂正有報/訂正短信(10)
- 収益認識/利益質 30pt:売上vs売掛・棚卸の乖離(10)、営業CF vs 営業利益の乖離(10)、粗利/販管費率の異常変動(10)
- BS操作 20pt:のれん/無形の急増と減損回避(10)、各種引当金の不自然な減額(10)
- 定量モデル 10pt:Beneish M-Score(可能時のみ。-1.78より悪化でリスク高)

# 手順
1) 直近3期PL/BS/CF・直近四半期短信から主要指標を算出(D/E、自己資本比率、Net D/EBITDA、Interest Coverage、営業CF、FCF、売上成長、売掛回転、棚卸回転 等)。
2) 監査報告・内部統制報告:意見区分、有意な不備、Going Concern注記、コベナンツ記載を確認。
3) 訂正有報・訂正短信、会計方針変更、監査法人変更の有無と理由を確認。
4) 売上の伸びと売掛/棚卸の伸び、営業利益と営業CFの乖離を比較し、赤旗候補を抽出。
5) 借入満期プロファイルと1年内返済額、手元資金でのカバー可否を確認。
6) 可能ならAltman Z、Beneish Mを算出(欠損はスキップ)。
7) 配点に基づき各サブ指標を0–100で採点→加重平均で「倒産」「粉飾」を算出。
8) Red Flags/Green Flagsを列挙し、最後に追加検証ToDoを提示。

# 出力フォーマット(銘柄ごと)
【サマリー(3行以内)】
- 倒産リスク: xx/100(レンジ)
- 粉飾リスク: yy/100(レンジ)

【スコア詳細(表)】
指標 | 値 | 判定 | スコア(0–100) | 根拠一次情報(出所・日付・URL)

【主要指標(表)】
売上成長率/営業利益率/営業CF/FCF/自己資本比率/Net D/EBITDA/Interest Coverage/売掛/売上/棚卸/売上/のれん/総資産 ほか

【一次情報リンク集】
- 例:TDnet 決算短信(YYYY-MM-DD):URL
- 例:EDINET 有報(YYYY-MM-DD):URL
- 例:内部統制報告(YYYY-MM-DD):URL
- 例:監査報告(YYYY-MM-DD):URL

【Red Flags(要深掘り)】
- 箇条書き 3–7点

【Green Flags(緩和要因)】
- 箇条書き 3–5点

【追加検証ToDo】
- 3–5点

【免責】
本分析は公開一次情報に基づくリスク評価であり、事実認定や投資助言ではありません。「粉飾」の断定は行わず、シグナル提示と追加検証提案に留めます。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。